五大ウイスキーにはスコッチウイスキー、カナディアンウイスキー、アメリカンウイスキー、ジャパニーズウイスキー、アイリッシュウイスキーがありますが、その中でも一番生産量が少ないと言われるアイリッシュウイスキー。
しかし、アイリッシュウイスキーにも魅力はあるのです。こちらではそのアイリッシュウイスキーの歴史と魅力をご紹介します。
アイリッシュウイスキーの歴史と魅力
ウイスキーの源流?アイリッシュウイスキー
アイリッシュウイスキーはヨーロッパの中でも古い蒸留酒の一つと考えられていて、ウイスキーの中では最も古いとされる説もあります。
実際、ウイスキーの語源とされるウシュクベーハー(Uisge-beatha)という言葉はゲール語というアイルランドの言葉という事からもウイスキーの祖と言われることが多いです。
また、世界最古の蒸溜所は1608年のブッシュミル蒸溜所であるが、実はアイルランド(正確には北アイルランド)にある。
言い伝えによれば、6世紀ごろ中東に訪れた僧侶が香水を製造するために持ち帰った蒸留方法をお酒に応用したとされています。
また、イングランドのヘンリー二世がアイルランドに攻め入った時に、イングランド兵が現地の修道院で見つけたという伝承もあります。
ただ、ウイスキー自体の品質は低いもので12世紀ごろもビールが濁ったようなものであったそうです。
栄光と没落のアイリッシュ
20世紀初頭、アイリッシュウイスキーはウイスキー市場の6割を占める大人気のお酒でした。
しかし、1919年当時既に経済大国になっていた主要取引先のアメリカ合衆国が禁酒法が実施されて規模が縮小してしまいました。
さらには、この禁酒法をかいくぐるために密輸入した粗悪なウイスキーにアイリッシュウイスキーのラベルが貼られ、販売されてしまったため、アメリカ国内での評価も著しく下げてしまいました。
これに加えてさらに、アイルランド内戦によって国力も下がりさらにアイリッシュウイスキーの生産量は減ってしまいました。
さらに、現在の立ち位置を決めつけたのが第二次世界大戦です。
アイルランドは、基本的にどの陣営にもつくことはなく、中立を保っていたので、戦時中はどの国へもウイスキーの輸出量を抑えていました。
すると、ウイスキーの消費量世界一のアメリカでは、アメリカ兵にスコッチウイスキーが配給されるようになり、人気を高めていきました。結果として、スコッチウイスキーは大人気になり現在では世界シェアの7割を占めるほどになっています。
一方で、アイリッシュウイスキーのシェアはほとんどなくなってしまいました。
ダントツの世界シェアを誇っていたアイリッシュウイスキーですが、こう言った事情から今では五大ウイスキーの中で最も生産量が低くなってしまいました。
アイリッシュウイスキーの魅力と特徴
五大ウイスキーの世界シェアは今最も低いアイリッシュウイスキーですが、もちろん良いところはたくさんあります。
その魅力は何と言っても癖のなさにあります。
一般的にウイスキーにはピート香を放つものが多く、この匂いをあまり好まないという方いるかと思いますが、アイリッシュウイスキーは他のウイスキーとは違い、蒸溜をなんと3回も行っているので、癖がなく飲みやすくなっています。
なので、スコッチウイスキーのピート香が苦手で、バーボンのような独特の甘みも合わないけど、強くて深みのある味のお酒が飲みたいという方はアイリッシュウイスキーはオススメできます。
もちろん、今日は飲みやすいウイスキーを飲みたいという時にもアイリッシュウイスキーはオススメできます。
オススメのアイリッシュウイスキーをレビュー
ジェムソンスタンダード
まずは、世界で最も売れているウイスキーと言われるジェムソンスタンダードです。
クセがなく、飲みやすいというアイリッシュウイスキーの特徴がわかりやすいウイスキーです。
基本的にどんなバーにも置いてあります。
ストレートで飲むのも良いし、ハイボールにするのも良いですし、水割りでも良いです。
アイリッシュウイスキーを始めて飲むと言う方には、まずはこちらをオススメします。
ブッシュミルズ・ブラックブッシュ
クセが少ないノンピート麦芽をシェリー樽とバーボン樽で7年蒸留した原酒を使用しています。
モルトウイスキーを8割、グレーんウイスキーを2割使用して作られています。
また、アイリッシュの特徴であるトリプル蒸留で非常に軽やかで、フルーティです。
タラモア・デュー
ジェムソンスタンダードに次いで、世界二位の売上を誇ったこともあるウイスキーです。
「タラモア」というのはアイルランド中部の町の名前です。
ほとんどクセがなく飲みやすいウイスキーです。
強いて言うなら、口に含んだときに少しフルーティで、大麦の香ばしさがあります。