スコッチウイスキーの主要な産地の6つの中の1つのローランドモルトについてご紹介します。
ローランドってどこ?
ローランド地方は、スコットランドの南側の南側のことを言います。
かなりざっくり言うと、ハイランド・モルト・ウイスキーの産地である、ハイランド地方の反対側になります。
イングランドが近いこともあり、比較的大きな都市が多いことも特徴で、
有名どころだと、世界有数の名門大学である「エディンバラ大学」を擁するエディンバラや、スコットランド最大の都市と言われるグラスゴー、スコットランドの経済発展地とも言われるアバディーンなどがあります。
また、グランピアン山脈に囲まれる険しい立地のハイランド地方とは違い、ローランドはその名の通り平坦でなだらかな土地が広がっています。
近代化で栄え、近代化で衰退した歴史
上述の通り、イングランドに近くで、大都市が多くあったこともあり、スコットランドの中では最も早く近代化した地域です。
ウイスキー作りにももちろん影響していて、ウイスキー文化は非常に栄え、蒸溜所も多い時では25カ所あったこともあり、当時のスコッチウイスキーのほとんどは、ここローランド地方で作られたものでした。
しかし、このローランド地方のウイスキー作りは皮肉にもウイスキー作りを栄えさせた近代化の影響で、だんだんと衰退していきます。
現在では蒸溜所は6つまでに減っています。
ただ、人気の銘柄は今尚多く
オーヘントッシャン
グレンキンチー
などがあります。
グレーンウイスキー誕生地域
ローランド地方は、ブレンデットウイスキーに使われることで知られるグレーンウイスキーの発祥の地です。
誕生のきっかけだったのは、戦争でイングランドに攻められて、1707年にスコットランドが併合されてしまったことです。
無事、戦争で勝利を収めたイングランド側の役人は、スコットランドにお金になるものがないか土地を調査していると、見つけたのがつけたのが、スコッチウイスキーだったとのことです。
イングランドはこれに目を付け、高い税金をかけるようになります。
困ったスコッチウイスキーの他の地方の製造者の多くは、税金を逃れるため密造を始めるのですが、
ローランド地方はイングランドに近いため、役人の目を盗んで密造することが出来ませんでした。
そこで、ウイスキー製造者はスコッチの原料である大麦ではなく、
原価の安いトウモロコシやライ麦などの穀類でウイスキーを作ることで、
「スコッチウイスキーでは無いウイスキー」を作り始め、税金から逃れようとしたと言われています。
これがグレーンウイスキーの誕生と言われています。
今では、ブレンデットウイスキーに使われるグレーンウイスキーのほとんどがローランドのグレーンウイスキーであり、蒸溜所が少なくなっていますが、重要な産地であることには変わりありません。
ローランド・モルト・ウイスキーの味わいと特徴
ローランドモルトウイスキーの特徴はなんといってもその飲みやすさです。
通常2回蒸留するのが多い中、ローランドモルトは、蒸留を3回行われる銘柄が多いです。
これは元々アイリッシュウイスキーと同じ製法で、その影響を受けています。
もちろん、3回蒸留しないウイスキーもありますが、やはり味わいは変わらずライトで軽やかな味わいのものが多いです。
香りは芳醇なものもあり、バニラのようなものや、はちみつのようなものなど華やかなものも多く、飲みやすく香りも高いので女性にも飲みやすいウイスキーです。
スコッチウイスキーの主要産地のなかでは最も飲みやすいウイスキーかもしれません。
ローランド・モルト・ウイスキーのオススメの銘柄
オーヘントッシャン12年
ローランドウイスキーの代表格とも言えるのがオーヘントッシャンです。
蒸留所は、スコットランドの大都市グラスゴーから北西に8kmほどにあります。
オーヘントッシャンとは、現地のゲール語で野原の片隅という意味があります。
色は赤褐色です。
香りは、ハチミツのような甘さとナッツのような香ばしさを感じます。少し、ライムやシトラスのような柑橘系の香りも感じられます。
飲み口は非常に軽く、クセは少なく飲みやすいです。これは、シングルモルトの蒸留は通常2回ですが、オーヘントッシャンは3回行っているためです。アイリッシュウイスキーと同じ回数です。
さらに度数の高い、オーヘントッシャンもあります。
飲みごたえが強くなっています。
グレンキンチー12年
こちらも代表的なローランドモルトです。
グレンキンチー蒸留所は、名門大学のあるエディンバラから東に少し離れたところにあります。
色はゴールドがかったブラウンです。
香りは、バニラ、ハチミツ、ホイップクリームのような甘さがありながら、リンゴのようなフレッシュ感があります。
味わいも全体的に甘く、アルコール感も少ないです。
甘目のウイスキーをお探しの方には特にオススメです。