スコッチウイスキーには、主要な産地が6つ存在します。
こちらでは、その中のキャンベルタウンという地域とウイスキーについてご紹介します。
キャンベルタウンってどこ?
キャンベルタウンはスコットランドの西南にある町の名前です。
ウイスキーの主要産地であるアイラ島の近くでもあります。
キャンベルタウンの「キャンベル」は、昔この地域で力を持っていた一族のキャンベル家が由来と言われています。
キャンベルタウンはアメリカ大陸からの貿易によく使われ、1900年よりさまざまな産業が栄え始めました。中でも、盛り上がったのがウイスキー産業です。
当時、人口わずか5,000人ほどでしたが、キャンベルタウンのイメージは「かなりお金持ちが住む街」というものだったようです。
キャンベルタウンとウイスキー産業
1900年頃より、キャンベルタウンはウイスキー産業を中心に栄えていきました。
輸出国のほとんどはアメリカで、莫大な利益を得ていたと言われます。
実際に、キャンベルタウンは人口が5,000人ほどの小さな港町でしたが、最盛期では蒸溜所が30ヶ所もあったということからどれだけウイスキー産業がうまくいっていたかがわかるかと思います。
ただ、それも繁栄も長くは続きませんでした。あることがきっかけで、盤石に見えたウイスキー産業は衰退していきます。
それは、ウイスキーの主要輸出国であるアメリカの「禁酒法(1920~1933年」の施行です。アメリカはウイスキーを製造することも、輸入することもできなくなります。
この影響で、キャンベルタウンのウイスキー産業は大打撃を受け、現在まで衰退の一途を辿ります。
最盛期には30ヶ所あった蒸溜所もみるみる減っていき、現在ではなんと3ヶ所、銘柄はわずか5種類にまでなってしまいました。
蒸溜所は下記の3カ所です。
・スプリングバンク蒸溜所
・グレンスコシア蒸溜所
・グレンガイル蒸溜所
実は、グレンガイル蒸溜所は長期間営業をしていませんでした。操業を開始できたのは2004年ごろからで、それまでの間はスプリングバンク蒸溜所とグレンスコシア蒸溜所の2カ所しかありませんでした。
ただ、キャンベルタウンのウイスキーは特徴的なのでファンも多く、現在のウイスキーブームで注目されているウイスキーでもあります。
キャンベルタウン・モルト・ウイスキーの味わいと特徴
キャンベルタウンは土地柄海が近いところに蒸留所があるため、ほんのりと潮の香りがします。
その潮風の香りが鼻を抜けるとじんわりと独特の甘みを感じることができます。この甘みの表現はさまざまで、はちみつ、メープルシロップ、バニラなどと言われます。
また、ナッツのような香ばしさもあり、後を引く味わいになっています。
ピート香というスコッチウイスキー独特の香りがするものも多くあります。
アイラモルトのように、ピート香が強くつけられているスプリングバンクの「ロングロウ」などはかなりスモーキーな味わいになっています。
キャンベルタウンのオススメ銘柄をレビュー
スプリングバンク
スプリングバンク蒸留所はキャンベルタウンモルトで安定してウイスキーを作っている唯一の蒸留所と言っていいでしょう。
そこの看板がこのスプリングバンクです。
色はブラウンです。
香りは洋ナシ、青リンゴのフルーティさがありながらバニラのような華やかさ、そして若干ピートの香りがあります。
口に含むと、シナモンやハーブ系の香りがあり、少し後にキャンベルタウン独特の塩っ辛さ(アイニー)が感じられます。
クセが強めのウイスキーです。
ヘーゼルバーン
こちらもスプリングバンク蒸留所の銘柄です。
色は薄い琥珀色。
香りは、洋ナシ、オレンジのフルーティさとバニラ、ハチミツのような甘さがあります。
味わいは、バニラ、ハチミツの芳醇な香りとともにチョコレートのような甘みがあります。
最後に
キャンベルタウン・モルト・ウイスキーは過去に栄華を極めたものの、蒸留所がたった3つになるまで衰退してしまいました。
しかし、ウイスキーの銘柄は特徴的なものが多く、ファンも多いためまだまだスコッチの主要な産地としては変わりないと思います。
盛者必衰を辿った歴史を知ることで、また違う味わいになるかもしれません。