スコッチウイスキーは、現在、世界五大ウイスキーの中でも最も人気があるウイスキーです。
フルーティで芳醇なものや、ドライでスパイシーなもの、さらには薬品の匂いなんて言われるものまで様々なものがあります。
そんなスコッチウイスキーですが、産地は主に6つあります。
この産地ごとに味わいや香りははもちろん、その産地の特徴があります。
産地を理解していると、極端に言うと、初めて見る銘柄であっても、産地がわかればなんとなく味わいの方向性がわかることも増えます。
こちらではそんなスコッチウイスキーの6つの産地についてご紹介します。
・スペイサイド
スペイサイドはスコットランドで最も蒸溜所が多い地域です。
地域としては決して大きくありませんが、6つの産地の中では、有名な銘柄も多くスコッチウイスキーと言えばスペイサイドといっても過言ではないです。
味わいはフルーティで芳醇で華やかな香りを持っていて、スコッチウイスキーならではのスモーキーさはありつつ、クセも強すぎないというバランスのとれたスコッチウイスキーです。
初心者にもオススメできるスコッチウイスキーです。
代表的な銘柄
ザ・マッカラン
日本で最も有名なスペイサイドモルトと言えばこのマッカランでしょう。
最大の特徴はそのこだわり抜いた「シェリー樽での熟成」でウイスキーを作るという点。
シェリー樽からついた芳醇な香りを楽しめるウイスキーです。
そのこだわり抜いた生成から「シングルモルトのロールスロイス」と言われています。
グレンリベット
グレンリベットもマッカランと同じく1824年に創業が開始された名門です。
政府公認のライセンス取得したことで有名です。
特徴はなんといっても飽きが来ない味わいです。
近年人気が高くシングルモルトの売り上げで1位になる年もあります。
グレンフィディック
ブレンデットウイスキーのキーモルトとして使われていた原酒を世界で初めてシングルモルトとして世に出されたウイスキーです。
味わいはスッキリと軽やか、それでいて味わいは深く蜂蜜やカスタードを思い出させます。
世界で最も飲まれているウイスキーと呼ばれる中のひとつです。
値段も3,000円と比較的安価のためオススメできます。
・アイラ島
スコッチウイスキーの中でダントツで個性が強い産地です。
その特徴は何と言ってもピート香です。
大麦を乾かす工程でこのピート(泥炭)をガンガンに焚いて匂いをつけます。
そうすると独特の匂いと味わいを持つようになります。
好みは分かれますが、ハマるとそれしか飲まないという人も多いです。
実際に、世界中から愛されているウイスキーです。
ちなみにその1人はイギリスのチャールズ皇太子です。
ラフロイグ10年
アイラの王と呼ばれるウイスキーです。その名に負けないこれでもかと言うピートの強い香りがあり、かなりクセの強い味わいとなっています。
好まれるか、嫌われるかのどちらかだというのは蒸留所自身もわかっていて、誇りを持ってピートの香りを作っています。
一度ハマったらラフロイグばかり飲むという方も少なくありません。
イギリスのチャールズ皇太子もラフロイグの虜になっており、ラフロイグの新商品が出るとチャールズ皇太子が試飲をするというのが慣例になっているほどです。
そのことがあってか、プリンスオブウェールズの認定をウイスキーで初めて受けとっています。
ボウモア
こちらはアイラの女王と呼ばれるウイスキーです。
アイラモルトならではのピート香が強く、クセがありますが、先述のラフロイグと比べるとピートは落ち着いています。代わりに、ビターチョコのような甘みがふわっと感じられるウイスキーです。
カリラ
こちらもアイラの特徴から外れず、ピート香とヨードの香りが強いためクセが強いです。
ただ、クセが強いだけではなく、その後には、イチゴのようなフレッシュさ、ハーブのような爽やかさも感じられる複雑な味わいを持っています。
・ハイランド
上記のスペイサイドを含む大きなエリアを指します。
ざっくり言うと、スコットランド北部です。
また味わいは、ハイランドが大きな範囲になるので地域によって違います。
北ハイランド
しっかりとした味わい。
口当たりは滑らかですが、キレの良いウイスキーです。
南ハイランド
北とは対照的な柔らかい味わい。
あっさりと軽いライトなウイスキーです。
東ハイランド
フルーティでフレッシュな味わい。
特徴的なものも多く面白い。
西ハイランド
東ハイランドと似ています。
強いて違う点を挙げると、潮の香りと磯の香りがあります。
北ハイランド
オールドプルトニー
スコットランド最北端にある蒸留所が作る、輝く琥珀色が特徴のウイスキーです。
香りはフレッシュでフルーツ感が強いです。
口に含んでも柑橘系の香りはありますが、塩っ気が少しあります。
ハイボールがオススメです。
グレイモーレンジィ オリジナル
特徴はハイランド地方の湧き水と、スコットランド産の大麦で作られた純国産というところです。
また、樽のパイオニアと言われており、熟成にオーク樽を初めて導入したことで知られています。
香りはフレッシュな柑橘系のフルーティさがあり、味わいは繊細で万人ウケします。なので、初心者にもオススメできるウイスキーです。
ダルモア
ボトルが特徴的で、立派な角を持った雄鹿がデザインされています。
色は赤褐色で、口に含むとレーズンのような香り、その後にバニラのような甘さがあります。
クセは強くありません、少し重いのが好きという方にオススメです。
トマーティン
3回樽を入れ替えるのが特徴のウイスキーです。
バーボン樽に熟成した後、アメリカンオーク樽で熟成させます。さらにその後に、シェリー樽で熟成させて完成です。
香りは、シェリーの甘い香りが強く芳醇です。また、バーボンの爽やかさ、オーク樽の香ばしい香りが後から感じます。
味わいもシェリーのような甘さがあり、全体的に飲みやすいウイスキーです。
クライヌリッシュ
ボトルは山猫が描かれています。猫とはいっても少し怖めです。
色は薄いゴールドです。
香りは芳醇な熟したフルーツのように感じます。
口に含むと、クライヌリッシュの代名詞とも言える、爽やかなマスタードのようなスパイシー香りが鼻を抜けます。
また、かすかにスモーキーさと、洋梨のような上品な味わいがあります。
食前食後いつでも合うウイスキーです。
南ハイランド
エドラダワー
南ハイランド産のウイスキーです。
香りは、お菓子の少し焦げたカラメルのような甘さを感じられ、木を燃やした香りも感じられます。
口に含むと、オイリーでクリーミーです。シェリー樽で熟成しているからか、シェリーの香りが強く感じられます。独特の味わいですが、後味もよくバランスもいいです。
グレンゴイン
グレンゴインの生成で最も特徴的なのは、スコットランドで最も時間をかけたウイスキー作りをする点です。
色は琥珀色のウイスキーです。
ノンピートなので、ピート香はありません。そのかわり、青リンゴ、アロマ、オークなど様々な香りを感じることができます。
東ハイランド
ロイヤル・ロッホナガー
イギリス国王のビクトリア女王が気に入り、女王自らが「ロイヤル」の名を許した蒸溜所で作られたウイスキーです。
口に含むとシナモンのような甘みが広がります。その後には、ピリッとするスパイシーさがあります。
後味はさっぱりとしているのでアルコール感もなく、飲みやすいです。
全体的に上品な甘さが楽しめる一本です。
アバフェルディ
アバフェルディは南ハイランド産で、デュワーズというスコッチで有名なデュワーズ社のウイスキーです。
口に含むとすぐにハチミツの香りと、クリームブリュレのような甘みを感じることができます。あとから、柑橘系の香りが追ってきます。
味わいは基本的に甘く穏やかな印象です。
西ハイランド
オーバン
1794年に操業された蒸溜所で作られたウイスキーです。
色は透き通ったオレンジ色です。
香りは、全体的に柑橘感が強く、口に含んだ後も同じくライムのような柑橘感を感じます。その後には、ハチミツのような甘みが追ってきます。
甘しょっぱいバランスが取れたウイスキーです。
・ローランド
ざっくり言うと、ハイランドの反対側のスコットランドの南部の地域です。
グラスゴーや、
特徴としては、全ての蒸溜所で蒸留を3回行なっているので、全体的にライトです。これはアイリッシュウイスキーも行うことで、スコッチウイスキーの中ではかなり飲みやすい部類です。
地域は大きいのですが、その割にあまり種類は多くなく、蒸溜所も6つです。
オーヘントッシャン
ローランドウイスキーの代表格とも言えるのがオーヘントッシャンです。
蒸留所は、スコットランドの大都市グラスゴーから北西に8kmほどにあります。
オーヘントッシャンとは、現地のゲール語で野原の片隅という意味があります。
色は赤褐色です。
香りは、ハチミツのような甘さとナッツのような香ばしさを感じます。少し、ライムやシトラスのような柑橘系の香りも感じられます。
飲み口は非常に軽く、クセは少なく飲みやすいです。これは、シングルモルトの蒸留は通常2回ですが、オーヘントッシャンは3回行っているためです。アイリッシュウイスキーと同じ回数です。
グレンキンチー
こちらも代表的なローランドモルトです。
グレンキンチー蒸留所は、名門大学のあるエディンバラから東に少し離れたところにあります。
色はゴールドがかったブラウンです。
香りは、バニラ、ハチミツ、ホイップクリームのような甘さがありながら、リンゴのようなフレッシュ感があります。
味わいも全体的に甘く、アルコール感も少ないです。
甘目のウイスキーをお探しの方には特にオススメです。
・キャンベルタウン
スコットランドの西南にあるキンタイア半島の端にある都市です。
この地域で有名であったキャンベル家からこの名がついたと言われます。
もともと、大麦が多く取れ、良質の水が流れていたこともありウイスキー作りには適した環境です。
最盛期には30もの蒸溜所がありましたが、戦争や増税の過去から、現在は3つほどになってしまいました。
味わいはアイラほどではありませんがピート香があります。
また、アイラモルトがピート香とヨードの香りの強さが個性的と言われていますが、キャンベルタウンには独特の「アイニー」と呼ばれる塩辛さがあります。
また、香りも芳醇でほんのりと甘みがあり、ドッシリとくる重さがあります。
スプリングバンク
スプリングバンク蒸留所はキャンベルタウンモルトで安定してウイスキーを作っている唯一の蒸留所と言っていいでしょう。
色はブラウンです。
香りは洋ナシ、青リンゴのフルーティさがありながらバニラのような華やかさ、そして若干ピートの香りがあります。
口に含むと、シナモンやハーブ系の香りがあり、少し後にキャンベルタウン独特の塩っ辛さ(アイニー)が感じられます。
クセが強めのウイスキーです。
ヘーゼルバーン
こちらもスプリングバンク蒸留所の銘柄です。
色は薄い琥珀色。
香りは、洋ナシ、オレンジのフルーティさとバニラ、ハチミツのような甘さがあります。
味わいは、バニラ、ハチミツの芳醇な香りとともにチョコレートのような甘みがあります。
ロングロウ
・アイランズ
アイランズモルトはアイラ島を除く、スコットランドの島々で作られるウイスキーの総称です。(アイラ島は島一つで特徴的なので「アイラモルト」として分類されています)
具体的に言うと、スカイ島、オークニー諸島、ジュラ島、アラン島、ルイス島で作られるシングルモルトを指します。
味わいは地域が様々のため一概には言えません。それぞれ特徴があります。
スカイ島のタリスカーは海の香りを感じることができる、スパイシーな味わい
オークニー諸島のハイランドパークは口当たりが滑らかで、後味もスッキリです。
ハイランドパーク
何故だか「北の巨人」という名で言われています。
ハイランドパークは、オークニー諸島の北緯59度とかなり寒い所にある蒸留所で作られるウイスキーです。
スモーキーでありながら、深い甘みのあるバランスのとれたウイスキーです。
また、後から柑橘系のような香りもあり、キレもいいので、ずっと飲んでいられるお酒です。
タリスカー
タリスカーはスカイ島という島で作られるお酒です。スカイ島には、ピートが多くとれることもあり、ウイスキーにもその影響があります。
タリスカーの特徴は、その強いピート香と、ほんのりと潮風のような香りもあります。口に含むと、胡椒のようなスパイシーさがあり、フルーティな甘みも感じられる部分があります。全体的に、香りや味わいが強く飲みごたえがあります。
スキャパ
スキャパはオークニー諸島の蒸留所で作られるウイスキーです。
ノンピートのウイスキーなので、ピート香はありません。
香りは珍しく、青リンゴのようです。その後にはレモングラスや、バニラのような風味がします。
味わいのフルーティな甘みがほのかにあります。